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現代齒手帖

山西歯科院長 永田のブログです。歯や口腔の健康などつれづれに。医院のhpはhttp://www.yamanishi-shika.com

食後の歯磨きはすぐ?30分後?

 最近テレビや雑誌で 、「食後すぐの歯磨きは歯が削れてしまうのでかえって歯によくない。30分は時間をあけるべき」と言われていますが、本当ですか?

 

と、数年前何度か患者さんより質問を受けることがありました。ちょっと前の話題ではありますが、以前よりブログを始めたら書こうと思っていた件です。

 

 私の感想としては

「んなアホな」

だったのですが、そう主張する記事を読んでみると、

 

①何も口にしていない時の口内の唾液のphは6.8(ほぼ中性)(本当)

②食事をするとどんどん酸性にかたむき臨界ph5.4を下回る(本当)

③すると歯のエナメル質表面のカルシウムやリンが唾液中の溶け出る(本当)

④食後30分くらいで溶け出たカルシウムやリンがエナメル質に戻ってきてphも元に戻る(本当。唾液の緩衝能スゲー)

 ↓

③と④の間に歯を磨いちゃうと溶けちゃってる歯が削れてしまうし、実際に実験でもそうだったよ!食後すぐの歯磨きはキケン!(そ、そうなのー!?)

 

という流れでした。

 

 我々歯科医師の間でも「え?マジ?でも実験でそうなったっていってるしなぁ...でもなぁ...」とほとんどの私も含め先生方が懐疑的でした。今回記事にするにあたり、信頼のおける機関の報告を調べてきました。

 

 まず、この実験は生体内の実験(in vivo)ではなく試験管内などの人工環境下での実験(in vitro)で、ヒトやその他の動物に食事を摂らせて歯ブラシで食後30分以内にゴシゴシやった、という実験ではありません。

 この時点で私は「え?食後すぐの人捕まえてゴシゴシやって歯を顕微鏡で 見たんじゃないんだー」と思いましたが、そりゃそうですよね。顕微鏡で見ようと思ったら歯を抜かなきゃならないですもんね。

 

日本歯科保存学会は

 「食後 30 分間は歯みがきを避けること」についての見解

食後の歯磨きについては、歯のう蝕(ムシ歯)予防の見地から、 これまで一般的に推奨されてきた通り、食後の早い時間内に行なう ことをお薦めします。ただし、酸性の強い飲料などの飲食物を摂った場合には、歯の酸蝕(酸によって歯の表面が溶けること)に留意 して歯みがきすることをお薦めします(なお、「酸性飲食物を摂取後 30 分間は歯磨きを避けるべき」ということの確認はできていません)。  

http://www.hozon.or.jp/member/statement/file/opinion_20131211.pdf

 

↑酸性の強い飲料とは酢、赤ワイン、コーラなどの清涼飲料水などです。

 

 日本小児歯科学会は

実際の人の口の中では、歯の表面は上記の実験で用いられた象牙質ではなく酸に対する抵抗性がより高いエナメル質によって被われています。したがって、このような酸性飲料を飲んだとしても、エナメル質への酸の浸透は象牙質よりずっと少なく、さらに唾液が潤っている歯の表面は酸を中和する働きがあり、酸性飲料の頻繁な摂取がないかぎり、すぐには歯が溶けないように防御機能が働いています。つまり、一般的な食事ではこのような酸蝕症は起こりにくいと考えられます。

小児における歯みがきの目的は歯垢の除去、すなわち酸を産生する細菌を取り除くとともにその原料となる糖質を取り除くことです。歯みがきをしないままでいると、歯垢中の細菌によって糖質が分解され酸が産生されて、歯が溶けだす脱灰が始まります。このように、歯垢中の細菌がつくる酸が歯を脱灰してできるむし歯と、酸性の飲食物が直接歯を溶かす酸蝕症とは成り立ちが違うものなのです。

結論としては、通常の食事の時は早めに歯みがきをして歯垢とその中の細菌を取り除いて脱灰を防ぐことの方が重要です。http://www.jspd.or.jp/contents/main/proposal/index09.html

 

↑しのごの言わずに歯を磨け、だそうです。

 

日本口腔衛生学会は

「食後30分間、ブラッシングを避ける」は正確性に欠ける表現であり、「酸性飲食物摂取直後の ブラッシングは避ける」、すなわち、酸性飲食物の摂取によって生ずる酸蝕症に限定して適応されると の訂正がありました。また、30分間につきましては、主に試験管内での酸蝕実験の結果に基づくもので あり、今後の検討課題であることが確認されました。さらに、酸蝕症は主に成人期の問題であり、通常 の食生活習慣を持つ小児・未成年期には適応されないとの合意が得られました。

http://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/file/meet/meet62_meeting4.pdf

 

 結局は、酸性炭酸飲料に歯の試験片を90秒間浸し「酸蝕症」の実験をして、その結果の話です。酸蝕症ではない人には当てはまらず、多くの人があてはまりません。

 

というわけで、私の見解は

「磨ける時に磨いとこう」です。

私は我が子の歯は食後すぐに磨くようにしています。なぜなら、

 

忘れちゃうから(てへ)

 

です。

 

山西歯科

http://www.yamanishi-shika.com/